Buddhist Narratology Laboratory

「答えのない時代に、共に答えを作る」をモットーに仏典を読んでいきます。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『弘明集』を読む(13)

牟子『理惑論』(4)序伝④ たいしゅ その しゅがくなるを きき えっして しょりを こう太守其の守学なるを聞き、謁して署吏(1)を請ふ。〔蒼梧の〕太守は、〔牟子が〕学問に非常に優れているという話を聞き、〔牟子を〕訪ねて役人になるよう頼んだ。 【署吏】…

『弘明集』を読む(12)

牟子『理惑論』(3)序伝③ ぼうし つねに ごきょうを もって これを なんずるも牟子常に五経(1)を以て之を難ずるも、牟子は、〔彼らに対して〕つねに〔儒教の経典である〕五経(『易経』・『書経』・『詩経』・『礼記』・『春秋』)を用いて道術士たちを批判…

『弘明集』を読む(11)

牟子『理惑論』(2)序伝② このとき れいてい ほうご てんか じょうらんし是の時霊帝(1)崩後、天下擾乱(2)し、この頃、霊帝が崩御されたことにより、世の中が乱れてきていたが、 【霊帝】後漢の第12代皇帝。 【擾乱】入り乱れて騒ぐこと。 ひとり こうしゅう…

『弘明集』を読む(10)

牟子『理惑論』(1)序伝① りわくろん理惑論世の人々の「無理解」を鎮めるための書 いちに いう そうご たいしゅ ぼうし はくでん一に云ふ、蒼梧(1)太守(2)牟子(3)博伝一説には、蒼梧の太守であった牟子博による注釈書 【蒼梧】蒼梧郡。かつて中国南部に存在…

『弘明集』を読む(9)

僧祐「序」(9)【完】 かねて せんかいに したがい ろんを まつに ふす 兼ねて浅懐に率い、論を末に附す。 僭越ながら、〔わたくし僧祐も〕鄙見を述べさせていただいた。巻末に『弘明論』(後序)として載せたものがそうである。 こいねがわくは けんあいを…

『弘明集』を読む(8)

僧祐「序」(8) その こくい じゃを きり けんげん ほうを まもる あれば 其の刻意邪を剪り、建言法を衛る有れば、 〔その選んだ基準としては、〕論主の主張が、邪説を刈り取るものであったり、仏法を守ろうとする言葉が書かれてあれば、 せい だいしょうと…

『弘明集』を読む(7)

僧祐「序」(7) ゆう まつがくを もってすれども こころざし くごに ふかし 祐、末学を以てすれども、志弘護に深し。 わたくし僧祐は、まだまだ浅学の身ではあるが、〔仏法を〕広め、守ってみせるという意気込みに関しては、誰にも劣らない。 せいげん ふぞ…

『弘明集』を読む(6)

僧祐「序」(6) まさに じゃくしょくの ともがらをして ぎべんに したがって ながく まよわしめ 将に弱植の徒をして偽弁に隨って長く迷はしめ、 なぜなら、知識のない者たちに、偽りだらけの理論を教え込むことによって、〔彼らを〕一生迷わせてしまうこと…

『弘明集』を読む(5)

僧祐「序」(5) それ かったんは よるに なくも はくじつの ひかりを ひるがえさず 夫れ鶡旦(1)は夜に鳴くも、白日の光を翻さず。 たとえ 〔夜明けを告げる〕ミミキジが夜中に鳴いたとしても、陽の光がさすことはないし、 【鶡旦】ミミキジ。ニワトリのよう…

『弘明集』を読む(4)

僧祐「序」(4) しゅぶんの こくじゅは すなわち こばんで いきょうと なし 守文の曲儒は、則ち拒んで異教と為し、 古典の解釈ばかりしている儒学者たちは、〔仏法を〕拒んで「異国の教えだ」と言い、 こうげんの さどうは すなわち ひきて どうほうと なす…

『弘明集』を読む(3)

僧祐「序」(3) だいほう とうりゅうしてより とし ほとんど ごひゃく 大法東流してより、歳幾んど五百(1)、 偉大なる仏法(仏の教え)が東方(中国)に流布してから、そろそろ五百年になろうとしている。 【歳幾んど五百】後漢の明帝の時代(57~75年)に…

『弘明集』を読む(2)

僧祐「序」(2) しかれども みち だいなれば しん かたく こえ たかければ わ すくなし 然れども、道大なれば信難く、声高ければ和寡し。 しかし、〔仏の〕真理(道)が偉大であればあるほど、信じることは難しくなり、〔仏の〕名声が高ければ高いほど、共…

『弘明集』を読む(1)

僧祐「序」(1) ぐみょうしゅう まき だいいち 弘明集 巻第一 〔仏法を世の中に〕広め、明らかにするための書 第1巻 りょう ようと けんしょじ しゃく そうゆう せん 梁(1)楊都(2)建初寺(3)釈(4)僧祐(5)撰 梁の首都・建康にある建初寺の僧侶・僧祐が撰述し…

Buddhist Narratology Laboratoryについて

はじめまして。もものりと申します。 このたびは、当ブログにお越しいただき、ありがとうございます。 ブッディスト・ナラトロジー・ラボラトリー(仏教物語研究室)では、 過去の叡知である仏典をひもときながら、 「答えのない時代」を生きるわたしたちに…